百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

個性的になるには  「河合隼雄の幸福論 (河合隼雄)」

著者が建築家の安藤忠雄氏と対談したときのこと。

安藤氏は極めて創造的な建築家で、国際的に高い評価を受けている。

何しろ独学で建築学をマスターした人なので、

建築界の常識を破るような設計をして人々を驚かせている。

その中で著者が印象に残った言葉がある。

安藤氏が「常識のない人は駄目ですね」と言ったのだ。

 

安藤氏のような創造的な人が何故そのようなことを言ったのか。

対談を続けていく中で、著者はその真意がわかった。

まるで非常識なことが独創的だと思っている人がたまにいる。

そんな人はただ周囲が迷惑するだけでなんの取り柄もない。

それよりも、常識をちゃんと身につけて生きていて、

なおかつそれを超えて何かが出てきてこそ、真に独創的であり得る

著者はそれを聞いてなるほどと感心した。

 

すると若い母親から質問があった。

今は常識と思っていることでも、

すぐに常識でなくなってしまうことが多いのではないか。

世の中はどんどん変わっていくのに、親が常識と思っていることを教えると、

かえって子供は困ってしまうのではないか、というのだ。

 

それに対して著者は答えた。

確かに自分が教えられた多くの常識は今は通用しない。

そのために私は両親を馬鹿にしたり、恨んだりしているだろうか。

そんなことは決してない。

 

常識は常識で「絶対真理」ではないし、「神の命令」でもない。

常識を身につけて生きているということは、

常識に縛られているのとは違う

常識に固く縛られたら、その常識が変わったときに困るし、

創造性はなくなってしまうだろう。

しかし、常識をあくまで常識として身につけている人は、

自分も他人不必要に傷つけることなく生きながら、新しい変化に対応していける。

だから今の親も自分の常識を我が子に伝えるのに迷う必要はない。

親の常識どおりに、そのまま生きよというのではないからだ。

常識の内容は変わるにせよ、常識を身につけた生き方そのものを伝えればいい。

 

私がこの話を読んで思い出したのは、「差別化しない」という話だ。

よく「差別化」「個性」「強み」といった言葉を目にする。

従来のやり方から外れれば、

とにかく人と違うことをすれば、差別化できるのだろうか。

おそらくそれはあまり意味がない。

仕事において大事なのは、相手のニーズに答えることだからだ。

いくら人と違ったことをしていても、相手のニーズに答えてなければ価値はない。

常識を身につけて、なおかつそれを超える何かが出てきてこそ、独創的になる。

差別化というのも、まず相手のニーズに答えた上で出てくるものだと思う。

 

オリジナリティを求めて、むやみに常識から外れたことをしようとしてないか。

常識を身につけないとオリジナリティは出てこないかもしれない。

あくまで順番は、常識→非常識であって

最初から非常識を目指すと独りよがりになる可能性がある。

まず常識を身につける。

そこから自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「常識を身につけると、あとから個性が出る」