百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

桑田真澄が語った、勝負に必要なこと 「向き合う仕事 (大越健介)」

桑田真澄が2013年1月に東大野球部の特別コーチに就任した。

著者はNHKのキャスターとしてインタビューしに行った。

東大はこの時点で、東京六大学のリーグ戦で46連敗中だった、。

他の5大学には、高校時代に有名だった選手たちが推薦で入学してくるとはいえ、

それだけでは言い訳できない成績だった。

 

なぜ東大は勝てなかったのだろうか。

桑田氏はその要因をこう語った。

「従来の常識どおりに野球をやっているからだと思います。

勝てないのは練習量が足りないからだとか、

走りこみや投げ込みや打ち込みが足りないからだとか、

そうしたことに頼っているから、なかなか壁を打ち破ることができない。

ぼくは自分の経験から、うまくなり、勝つために必要なのは、

練習の量とか時間ではないと思っています

 

実際当時の東大のエースだった鈴木翔太選手は

「自分たちは練習しているわりには結果が出せてなかった。

練習した分だけうまくなるはずが、そうなっていない感覚がありました。

とにかく頑張らなければ、練習しなければという気持ちのほうが、

楽しみ気持ちよりも大きくなってしまっていました」と語っている。

 

では、勝つためにはどうすればいいのだろうか。

桑田氏は語った。

レベルの高い他の大学と伍していくために必要なのは、発想の転換です

あらゆることの結果が野球なのだという発想に変えていくことだと思います。

東大は、他の大学よりも体格や技術、高校時代の実績では落ちます。

でも、総合力でなんとか戦っていけると思います。

勉強から野球に生かせることはたくさんあります。

全部を投入して戦っていけば、対等に勝負できると思います」

 

練習後のミーティングで、桑田氏は選手たちに、

野球がうまくなりたかったら、野球だけにとらわれることをやめるべきだ、と

逆説的に説いた。鈴木翔太選手は目から鱗が落ちる思いで聞いていた。

当時彼は肩を痛めてリハビリ中だった。

普通はリハビリ自体は野球と何の関係もない、時間の無駄のように思ってしまう。

しかし、リハビリをすることで、肩の構造がこうなっているので

こう鍛えればよいとか、こういうふうに投げると良い、というのがわかった。

怪我の経験から、野球に活かせることが見つかった。

あらゆることを野球に活かす。それが総合力で勝負する、ということだ。

 

桑田氏自身も、日本のプロ野球やアメリカの大リーグで、

自分よりずっと大きな人の中で、体格差を感じながらやってきた。

自分はパワーで負けているからもっと筋トレしなければ、と

筋トレに精を出したとしても活躍はできなかっただろう。

く私は、バランスの良い練習とは何かを追求したり、

体調を整えるとはどういうことなのかを追求したりした。

野球でも、投手だから投げるだけとこのではなく、

打つことも守ることも研究した。

一つのことにとらわれて「もっと練習しなければ」と考えるのではなく、

総合的にあらゆる角度から自分を見て、

活かせるところ、勝負できるところを鍛える。

総合力というものを考えぬいたからこそ、あれだけ活躍できたのである。

 

文武両道という言葉がある。

著者は、「両道」というのは2つの道が同じ太さではない、という。

「文」を極めることで「武」に活かせるものができるし、

「武」を追求することで「文」も磨かれる、と考える。

だからこそ、勉学が得意な東大生であれば、

勉強で鍛えた考える力を野球にフル活用すれば

必ず勝利のヒントは見つかるのではないか。

もちろん、それをやりぬくには全てを野球に注ぐ覚悟がいる。

 

不得意なことは誰にでもある。

壁にぶつかることは誰にでもある。

そんなとき、狭い視野に囚われていては解決策が見えない。

あらゆる角度から総合的に考えることで、勝利に必要な発想の転換ができる。

活用できるものは何でも活用して、総合力で勝負する。

野球にかぎらず、会社の経営や人生にいたるまで、必要な考えではないか。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「総合的に考えて、発送の転換をする」