百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

"肌の幸福度”を高めると、人生も幸福になる 「身体は何でも知っている(三枝誠)」

日本語には「肌が合う」「肌で感じる」「肌を合わせる」「ひと肌脱ぐ」「肌を許す」

「親分肌」「姉御肌」「職人肌」など、肌にまつわる言葉が多い。

著者によると、皮膚というのは人間が思っている以上に

さまざまなことが記憶されている書庫のようのものである。

親から触れられた記憶、先生から叩かれた記憶、恋人から撫でられた記憶、

こうしたさまざまな記憶を蓄積している状態を、

著者は「肌の幸福度が高い」と表現している。

 

著者が長年整体指導をしてきた経験から気づいたことがある。

人間関係の問題や悩みをたくさん抱えている人は、

心地よい皮膚接触をされた経験がない、

つまり肌の幸福な記憶がない人が多いということだ。

このような肌の幸福度が低い人は、どのような問題を抱えるのか?

 

まず皮膚の感覚は当然鈍くなり、肌から出る気が極めて少なくなる。

すると自分というものが非常に小さくなってしまうのだ。

たとえば、自分がカバンを持っていたとする。そしてカバンが人にぶつかった。

しかし、今の人は、自分のカバンがひとにぶつかっても謝らない。

あるいは自分が乗っている自転車が人にぶつかっても謝らない。

これは常識がないというより、カバンや自転車が自分の一部であることを、

身体が認識してないことが原因である。

 

昔自分の下着を売る女子高生がいたが、これも同じ現象である。

下着を自分の一部だと認識していないから、恥ずかしさがなくなる。

また、カップルが道を歩いていても、隣にいる恋人のことを

「彼は私の男」「これは俺の女だ」という実感がわかなければ大事にしなくなる。

おそらく家庭内暴力をする人は、相手のことを自分だと思っていない。

結局、肌の幸福度が低い人は、「自分」を認識している範囲が小さくなり、

まさに身を細くして生きていくことになる。

 

肌の幸福度が低いと、自閉症や引きこもり、不登校にもなりやすい。

肌の幸福度を増やすような教育がされていないのが原因だと著者は言う。

皮膚の接触の代わりに、言葉で補おう、頭で考えようとしてきた

長年のツケが回ってきているのだそうだ。

学校では体罰はいけないと言って、廊下に立たせることすらしない。

話せばわかると言って、説教だけして頭の中だけですまそうとする。

実は体罰は高等技術である。痛みの先に愛情を感じさせ、

後遺症を残さない程度に叩き、子供にしっかり反省させるのが体罰だ。

虐待はいけないことだが、体罰は必要なときもある。

しかし、肌の幸福度が高い教育者から叩かれた経験がないと、体罰をするのは難しい。

 今の先生には理想的な叩き方はできない。

 

女子生徒に少しでも触るとセクハラだと言われる可能性もある。

男の子にも、喧嘩はいけない、騎馬戦は危ないと、

事故が起こりそうなことはどんどん遠ざけていき、

子供たちはスマホやテレビゲームにのめりこむ。

また、子供は親から口で褒められるよりも、抱きしめてもらったり、

撫でられたりしたほうが幸福を感じる。

こうした経験がないと気持ちいいことも悪いことも含めて

肌に何の記憶もないまま大人になっていく。

そうした子が将来家庭を築いても、肌にぬくもりのある家庭にならない。

こうして子供が皮膚接触をする機会はどんどん奪われていく。

 

実は肌の幸福度が低い人はいじめられやすい。

これは、私自身痛いほどよくわかる。

中学の頃アトピーがひどくていじめられていたからだ。

それは今でもトラウマになっている。

それは極端な例だが、そこまでいかなくても肌が荒れていれば

あまり人に見られたくないし、触られたくもなくなるから

無意識に人を避けるようになるかもしれない。

肌の幸福度が低いということは、自分の世界が小さくて

他人とかかわり合いを持つフックが極端に小さくなるからだ。

自分の世界が小さければ、気持ちを伝える手段もすぐに底をついてしまう。

そうすると内にこもるか、暴力を振るうかになる。

 

肌の幸福度は、眼で分かる。

肌の幸福度が低い人は、眼の周りの皮膚が張り付いたように緊張し、

つり上がった目に見えるのである。

では、肌の幸福度が低い人は人生をあきらめるべきか?

そんなことはない。今からでも肌の幸福度を上げることは可能である。

 

肌の記憶は書き換えることができる。

特に上手なエステティシャンは、皮膚感覚を初期化してくれる。

マッサージでも整体師でも、直に触れられながら肌を調整できるところに行くとよい。

また、何かスポーツをするならできるだけ接触するスポーツが望ましい。

ラグビーや社交ダンスや合気道などが効果的である。

 

人と触れ合うことも大事だ。

「いい子、いい子」と誰かに撫でられて育った子供は肌が幸福になり、

人間に対する受容のキャパシティが広がる。

子供やペットに触れて可愛がったり、

恋人や結婚相手と心地よく触れあったりするとよい。

手料理もいいかもしれない。食材に触れて料理するからだ。

 

もちろん温泉につかったり、肌に良いクリームを使ったりして

肌に直接いいことをするのもいいと思う。

ただ、本書で強調されているのは、何かに触れていくことだ。

人間関係がうまくいかない人は、意識的に何かに触れ合う機会を増やすとよい。

そこから自信にもつながるかもしれない。

 

本日の武器「触れ合いの機会を増やす」