くづれを知るということ 「宮本武蔵の五輪書が面白いほどわかる本(細谷正充)」
「くづれを知るといふ事」という文章がある。
「崩れるということは、全ての物事にある。
家が崩れる、身が崩れる、敵が崩れる。
みんなその時にあたって、拍子が違って
崩れるのだ。
多人数の兵法でも、敵の崩れる拍子を心得て、
その瞬間を取り逃がさないよう、
追い立てるのが肝要なのである。
また一対一の兵法でも、戦っているうちに、
敵の拍子が狂い、崩れることがある。
崩れを突き、敵が立ち直らないように、
しっかりと置いたれるのが肝要である。」
2時間以上も遅刻をしたのも、
刀ではなく船の櫂で戦ったのも、
鞘を捨てた小次郎に
「小次郎破れたり。
勝つつもりならなぜ鞘を捨てた」と叫んだのも、
佐々木小次郎を崩すためだという説もある。
柔道できれいに投げるには、
投げる前に相手の体勢を崩すことが重要である。
接客においても、交渉事においても、球技においても、
いきなりやみくもに全力でぶつかっても効果は薄い。
まず崩す。
それから攻める。
これができれば、自分の思い通りにしやすくなるし、
そうすることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「まず崩すことを考える」