百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

マネーの虎でお金を出させるには 「がなり流!(高橋がなり)」

31~34歳の頃の著者が成立させた主な企画は、

そっくりさんパブ、ビーチバレー、ダイヤルQ2、プチ丼、

ポップアーティストTシャツ、スノーボードショップといったものらしい。

成立というのは、「マネーの虎」で言うところのマネー成立である。

著者の企画案に誰かが乗って、資金を出したということだ。

自分の企画力に自信があったからこそ、二つの会社を立て続けに潰し、

借金まみれになっていても乗り切れたのだという。

マネーの虎に出ていた志願者たちがマネーを成立させることはあまりなかった。

著者と彼らの違いは何だろうか。

 

著者にとっての最悪な企画書とは、ワンパターンの企画書である。

良い企画書というのは、相手によって内容が変わるものだ。

マニュアル本を見て作っても、それが企画書の受け手側のタイプに

合ってなければ何の意味もないのだ。

 

例えば、相手が田舎者なら、市場シェアやブランド構造を図式化して、

ビジュアルで圧倒する。紙も上質のものを使い、

代理店が気取ってくるようなものにする。

相手がやり手の商売人なら、いいことばかり書かず、

企画の弱点を敢えて見せたうえで、解消する方法論も挙げる。

リエーターに金を出させたいときは「これ儲かりますよ」ではなく、

「これ面白いんですよね」を切り口にする。

 言い方は悪いが、著者にとって企画はうまくだまして結果が出ればOKなのだ。

5億円儲かると思ったら10億円儲かると書いておく。

多めに言っておいて、結果的に5億円儲かったなら誰も損しない。

 

しかい、上司が相手の場合は、基本的にだまそうとする企画書は通らない。

貧乏人が金持ちに金を出してもらうには「うまくだまして、結果が良ければOK」だが

上司と部下は信頼関係がベースにあるので、だますのは反則である。

よほど馬鹿な上司じゃない限り、その魂胆は見抜かれ、信頼を失ってしまう。

 

上司に対しては、企画書の中に「自分では解決できない問題点」を一つ入れておく。

「だったらこうすればいいんじゃないか」と上司が言った時点で、

それは上司の企画にもなるので、おそらくその企画は通る。

それほど優秀な上司じゃなかったとしても、仮に上司が印刷会社に顔が利くならば、

「印刷コストがもう少し下げられればいいのですが・・」と、

その上司が解決できるであろう問題点を伝える。

「俺が何とかしてやるよ」となればOKだ。

上司の懐に入ってその気にさせる、甘え上手な企画書が上司には望ましい。

いずれにしても企画書で大事なのは、相手次第で構成を変えることだ。

 

さらに企画で大事なことがある。

下の立場になるのではなく、お金を出す人と対等の関係になることだ。

 著者は頭を下げて「お金を出してください」と頼んだ事がない。

お金持ちに対して「儲けは山分け。フィフティフィフティです。

僕のやり方で毎月これだけの利益を出すので、企画を出す僕とお金を出すあなたで、

純利を半分ずつにしましょう」と言うのだ。

儲かった話から入るとパートナーになれる。

金を出す側と出してもらう側という上下関係みたいなものを振り払える。

もちろんこれには、企画の内容に信憑性がなければ成立しない。

 

信憑性を高めるには、既成事実が欠かせない。

予測だけ並べても説得材料にはならないし、市場動向から算出した数字でもまだ弱い。

「私は自分が企画した飲食店で年に2億の利益を上げました。

だから、類似点を持つこの店舗なら、半額でも1億は儲かります」と

既成事実を入れることで、信頼は得られる。

著者の30代前半で通した「そっくりさんパブ」の企画書の中には

「そっくりショー」という番組のタレントさんとコネがあるという事実が入ってた。

ダイヤルQ2(エロじゃない内容のものを提案)」の企画書には、

元気が出るテレビ」の芸能人をキャスティングすることで既成事実とした。

 

小さなことでもいいから、自分なりの既成事実を入れる。

既成事実が何もないなら、それを作ることが先決である。

そこが「マネーの虎」の多くの志願者との違いだった。

社長の連中を自分よりも上の人だと思い、簡単に頭を下げ、卑屈になる。

既成事実がないのを、夢や理想を熱く語ることで補おうとする。

それでは説得できない。

 

私が思うに、どちらかだけがメリットをもらうのでは、対等の関係になれない。

対等の関係とは、組むとお互いにメリットがある関係だと思う。

そのためには、メリットを与えられるだけの根拠が必要だ。

それは理論だけでなく、事実が必要だ。

営業でも、就職面接でも、企画を通すことでも同じだと思う。

一般的な理屈を並べられるより、

小さなことでも何かを達成した事実から述べられたほうが説得力がある。

事実を積み上げると、自分のできることが増える。

そうすることで自信につながるのかもしれない。

 

本日の武器「相手と対等の関係になれるように、既成事実を重ねる」