百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

人は「明日もっとできる」と考える習性がある 「スタンフォードの自分を変える教室 (ケリー・マクゴニガル)」

ダイエットをしているとする。

ところが誘惑に負けて、つい食べてしまった。

「今日はダメだったが、明日は食べないようにしよう」と考える。

この人は、おそらく明日も食べてしまうだろう。

私たちは「今日はダメでも明日は挽回できる」と思い込む習性があるのだ。

しかし、大抵の場合、明日も同じ結果になる。

このことは、心理学の研究で明らかになっている。

 

ある大学で調査が行われた。

エクササイズの器具を購入した消費者が、

その器具をどのくらいの頻度で利用するかという質問に対し、

どのように答え、結果はどうだったか調べる、というものだ。

 

あるグループには

「来月は1週間に何回くらいエクササイズをしようと思いますか」と質問した。

別のグループには、この質問に重要な前置きを付け加えた。

「理想的には、来月は1週間に何回くらいエクササイズをしようと思いますか」

と質問したのだ。

さらに別のグループには、

「実際には、来月は1週間に何回くらいエクササイズをしようと思いますか」と

質問した。

 

ところが各グループの回答に差はなかった。

「実際には」と言われたときですら、理想的な予想を立てたのである。

むしろこちらが「現実的に考えてください」と念押しをしたグループほど

最も楽観的な回数を予想したのである。

そして、2週間後に実際にエクササイズを行った回数を調べると、

やはり予想を下回った回数が報告された。

 

そしておなじ質問を再び繰り返した。

「では、次の2週間で何回エクササイズをしようと思いますか」

すると驚いたことに、楽天家の人たちは1回目の予想を遥かに上回る回数を答えた。

今回のひどい結果を挽回しようと次回の回数を増やしたのである。

1回目の予想は非現実的な理想ではなく、ただの例外と彼らは考えた。

だからこそ「次はちゃんとやれる」と信じているのだ。

 

人は先のことを考えるときに

きっと今と同じように忙しいだろうとは考えない。

だから、今日はやりたくないことでも、

あとになればきっと時間があるだろうと考える。

こうした傾向に有効な対策はあるのだろうか。

 

行動経済学のハワード・ラクリンが面白い仕掛けを提唱している。

ある行動を変えたい場合、その行動自体を変えるのではなく、

毎日同じ量の行動をする、というものだ。

例えば、タバコを「毎日同じ本数吸う」ように喫煙者に指示すると、

タバコの量を減らせと言われていないのに、なぜか喫煙量は減っていく。

 

この方法だと、

今日タバコを1本多く吸えば、毎日同じ本数を吸う決まりなので、

明日も明後日も1本多く吸い続けないといけなくなる。

そうなると、タバコの1服に重みを感じるようになり

「明日本数を減らせばいい」という言い訳ができなくなるのだ。

だから何を減らそうと思えば、一気に減らすのではなく、

「毎日同じ量」という決まりを作るとよい。

 

 

逆に何かを増やすときにも有効であると本書には書いてある。

例えば、このルールでは今日夏休みの宿題をしなかったら

明日もしないことになってしまう。

だからこそ「少しでもやらないと」という気持ちになる。

 

腕立て伏せを毎日20回しないといけないとする。

そこをあえて1日10回しかしないようにする。

そうなると1日20回やるよりも楽に続けられるし、

少なくとも半分の10回は毎日やることになる。

そして、やっているうちに「少ないな」と不安になってくる。

そこで徐々に増やせるようになるのではないだろうか。

 

何かを減らすにせよ、増やすにせよ、

「毎日同じ量」を原則にすると

明日に引き延ばすのではなく、実行することが前提となる。

だからこそこの方法は有効なのだろう。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「毎日同じ量ルールをやってみる」