百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

正確な記憶よりも曖昧な記憶 「抜く技術 (上原春男)」

人間の脳には「保留」という働きがある。

AさんならAさんという人物の顔かたちなどを記憶する場合、

脳は隅から隅まで全て正確な認識をせず、

「ざっとこんな感じ」と曖昧な覚え方をする。

最初は厳密な認知を保留するのである。

 

これは、取り入れた情報を最初から固定してしまうと、

次に会ったときにAさんが髪型や服装を変えていた場合、

そのギャップに認識が混乱するからである。

それを防ぐために脳はあえて正確さを保留し、

あいまいさを残して記憶する。

 

それに対して鳥は大変記憶力が良く、最初から正確な認識をする。

そのため餌を隠した場所にもきちんと戻れるのだが、

枝や葉っぱの様子など、周囲の状態が少しでも以前と違っていると

もう餌にたどりつけなくなってしまう。

 

鳥の脳は正確だが融通がきかない。

一方人間の脳は曖昧だが柔軟性がある。

それが人間の高い学習能力につながっている。

この、人間の脳の「あえて正確さを保留する」という話を読んで

私は、自分の内面に対しても当てはまるのではないかと思った。

 

自分に足りないもの、失敗して取り返しのつかない過去、

不利に思えてしまう前提条件、マイナス思考、

そういった自分の足かせになるようなことを

正確に直視してしまうと中々行動できないし、

結局「失敗」「やめたほうがいい」という結論にしかならない。

問題から目をそらして都合のいいように考えるのは良くないが、

一字一句正確に見て意識しすぎても行動できなくなってしまう。

問題点はきちんと考慮に入れるが、

行動するときは、曖昧に把握しておく程度にしておかないと

前に進めなくなると思う。

 

真面目で融通がきかない人ほど、振り込めサギに引っかかりやすいという。

犯人は相手に間をおかせず一方的に饒舌に話してくる。

冷静に考える時間を持たせずに言葉巧みに言われて

一から十までまともに受け止めてしまう。

何もかも生真面目に、正確に受け止めすぎると

柔軟な対応はできなくなってしまうのだ。

 

問題点は、目を逸らして無かったことにしておくのではなく、

曖昧に把握しておいて今できることからやる。

何でもかんでも正確に向き合いすぎると、マイナス面まで正確に向き合いすぎて

行動に移せなくなってしまう。

あるいはプラス面も正確に向き合いすぎると、自分の都合のいいように考えて

想定外のことに対応できないかもしれない。

 

あえて曖昧にする。あえて保留する。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「時には曖昧に保留する」