日本で一番満たされてない欲求 「身体は何でも知っている(三枝誠)」
マズローの有名な「5段階欲求説」というものがある。
人は5つの段階を順番に踏んでこそ成長が遂げられるものであり、
どんな人でも下部の欲求を満たさないと自己実現は頓挫せざるを得ない、
というものである。
第1段階は食欲、性欲、睡眠欲などの「生理的欲求」
第2段階は寒風をしのげる衣服や、危険な侵入者がはいってこないための
安全な空間を求める「安全欲求」
第3段階は、集団に所属したいという「集団帰属欲求」
第4段階は、集団の中で尊敬を勝ち取りたいと思う「自尊欲求」
第5段階は創造的人生を贈りたいという「自己実現欲求」である。
ここで注意するべきは、著者が下部と呼ぶ第1~3段階までの欲求である。
「下部」とは、下賤なものというより、土台のように重要である、という意味だ。
例えば、有名大学教授などが人々の尊敬を集めて自尊欲求を満たしたとする。
しかし、この人が第1欲求を満たしてなければ、
盗撮や痴漢をしたくなる自分を抑えきれなくなり、捕まることもある。
結果的に自己実現も頓挫するのだ。
そして、著者によれば、今の日本で最も満たされてない欲求は
第3段階の欲求であるという。
少年犯罪や親子殺人などの底流には、この欲求への残酷なまでの渇望がある。
要は、一人でしか食事をしなくなると、この欲求が満たされにくくなるのだ。
食事というのは、栄養補給の他に第3段階の欲求を満たす役割もある。
食卓を囲むことは、家族や仲間との、人とのつながりを再確認できる。
日本人が食卓を囲まなくなるにつれて
家族関係、人間関係の残酷な事件や、うつ病の増加しているという。
一人でしか食事をしない人は、心にまで悪影響が出ているかもしれないのだ。
なるべくなら誰かと一緒に食事したほうがいい。
著者によれば、犬も集団帰属意識が高い動物なので飼うのは効果的だそうだ。
さて、私が気になったのは下部の欲求がすごく大事だ、という点だ。
どんなに仕事を頑張って出世しても、自分らしく生きることを追求しても、
下部の欲求が満たされてなければ問題が起きる。
だからこそ、自分が下部の欲求をきちんと満たしているか確認し、
対策をたてることが大事なのだと思う。
私なりの解釈をすれば、
第1欲求が満たされてないなら、食事や睡眠をきちんととる、恋愛をする。
第2欲求が満たされてないなら、防犯の仕組みを整える、洋服を買う、
引越しをする、模様替えをする。
第3欲求が満たされていないなら、誰かと食事をする、犬を飼う、
何かの集団に所属してみる、といった対策が考えられるかもしれない。
生理的なもの、安全(衣住)、集団所属、といった土台の欲求が満たされてないと、
仕事や自分のやりたいことまで支障が出てくる。
自分のやることがうまくいかないときは、自分の下部の欲求を振り返ってみて
そこに原因があれば、きちんと向き合う。
そうすることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「マズローの第3欲求までが満たされているか確認する」