根に持たない 「人間を磨く 人間関係が好転するこころの技法(田坂広志)」
豊臣秀吉は、あることで主君である織田信長の怒りを買ってしまい、
自宅での謹慎を命じられた。
彼は、自宅でひっそりとおとなしくするどころが、
敢えて、飲めや歌えの大宴会を開いた。
信長は家臣から報告をきき、笑いながら「猿め!」と言ったと伝えられている。
秀吉に対して激しく叱り、謹慎を命じた信長にしてみれば、
秀吉が心のなかで信長に対してどう思っているのかが気になっている。
それに対して、宴会を催してみせたのは、
「私はいささかも根に持っていません」というメッセージであっただろう。
もし、このとき秀吉の屋敷が静まり返っていたら、
信長は「あいつは何を考えているのか?良からぬことを考えてないか?」と
疑心暗鬼にかられたであろう。
誰かを感情的に非難すると、「相手もどこかで自分を非難しているのではないか」
「今後自分を避難するのではないか」といった「他者不安」の感情が生まれる。
そのため、深層意識の世界では防衛反応が働き、自己防衛を図ろうとして
ますますその相手に攻撃的になってしまう。
だから、非難されたときに「根に持ってません」ということを伝えることで、
相手の他者不安の気持ちは和らぐし、相手もそれ以上ひきずらなくなる。
人を叱った時も、人に叱られた時も、
引きずらずにケロッとしていたほうがよい。
叱り、叱られたとで変に態度を変えてしまうと、わだかまりが残ってしまう。
叱ったほうも相手がどう思っているか不安である。
叱られた方も、叱った人がどう思っているか不安である。
人とぶつかった時には、相手も心の底では不安なんだと思って
根に持たないようにする。
そうすることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「根に持っていないことを伝える」