麻雀に弱い人① 「ビジネスに活かすギャンブルの鉄則 (谷岡一郎)」
日本は外交が下手だと言われる。
それは、ゲームやギャンブルに慣れてないからだ、という説がある。
ポーカーをよく知らない日本人と、いつもやっているアメリカ人とでは
交渉力に差が出て当然だという人もいる。
麻雀や、ポーカーといったゲームでは駆け引きの力が培われる。
駆け引きというのは相手が存在するため、難しい状況判断が必要だからだ。
こういったゲームは基本的にゼロサムゲームである。
みんなが勝利するといった平和なことは起こらない。
相手のマイナスは自分のプラスになるし、その逆も成立する。
したがって、相手を蹴落とすことも戦術の一つになる。
もちろん自分が蹴落とされることも考慮しながら判断しなければならない。
著者は麻雀に弱い人の特徴を説明している。
ここにあげられた特徴は、ビジネスにおける駆け引きでも当てはまる。
弱い人の反対をすれば、強い人になる。
全部で5つあるが、今日は3つだけ取り上げる。
なんとなしに共通しているものがあるからだ。
①場を見ず、自分の手ばかり見る
麻雀が弱い人は、自分の手ばかり見て、残りの3人の様子を見ようとしない。
あるいは自分の手で目いっぱいで、場を見る余裕がない。
他の3人がどんな手段を狙っているか、誰が早くあがりそうか、
現在の各自の点数はどうか、といった情報をもとに判断しないと勝てない。
ビジネスにおいても景気観測やマーケティングをする。
「よい車だから売れるだろう」で新車を生産しても成功しない。
売れる根拠もないまま突っ走るのは危険だ。
適切な時期と始まったあとの継続可能性を考えないと機能しない。
②どんな手でもアガろとする・オリない
麻雀は4人が競い合うゲームであり、自分一人が上がり続けることはめったにない。
著者の意見では、4回に1回あがればよしとしたものだという。
つまり、上がり続けることはできないから、トータルでプラスとなるように
自分をコントロールしなければならない。
ところが弱い人は4回に1回のあがりをよしとしない。
ほとんど全ての手をあがりにいく。
たとえ安い手であってもあがるために危険を犯す。
そして自分の捨てた手で他人があがることになる。
その原因は、状況判断の甘さと、自分の手の可能性に対する過信である。
逆に強い人はよく降りる。
状況判断の結果、自分の手が処部に値しないときには危険を避け、
次回のために損害を最小限にとどめることを優先する。
ただし、降りてばかりでもなく、
自分の手の可能性が、危険を犯すに値すると判断した時には勝負に出る。
もちろん失敗することもあるが、危険を避けて降りてばかりでは勝てないのである。
あがりにいくか、降りるかは、「場」と「自分の手」を冷静にみないといけない。
全部をあがりにいくのでもなく、全部を降りるわけでもなく、
その場の状況で最善の手を考えないといけない。
③計算に弱い(目標設定ができない)
麻雀に弱い人のもうひとつの特徴は「計算に弱い」ことである。
自分が現在何位で、上の順位をめざすために何点のあがりが必要か、
こういったことを考えずに単に自分の手であがろうとしても失敗する。
よく見れば点差が大きすぎて逆転はできないのに、挑もうとする。
麻雀に強い人は逆に、自分の手を見て1位を目指すか2位を目指すか、
それとも4位の人にまくられるのを防ぐのか、といった目標設定をする。
それは冷静な計算と可能性に従った方針なのである。
こうした明確な目標をたてないと、短期的な利益に目がくらみ、
長期的には損をすることになりかねない。
ということは麻雀に強い人は、自分の手だけでなく
場を冷静に見て計算し、あがったり降りたりしながら
トータルでプラスに持っていく人、と言える。
冷静に周りを見て、いくべきかどうかを決める。
そうすることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「場を見て、トータルでプラスに持っていく」