百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

最も効果的な新人研修のレポート 「ハンパな人生論より極道に学べ (宮崎 学)」

アウトローはつねに最悪の事態から考えていく。

いつなんどき命のやりとりにならないとも限らないから、

そこから考えないと命がなくなる。

「もし喧嘩になって相手がチャカを持っていたとしても、

当たらなければ死なねえな」

これでは、死んでしまう。

「もしもし喧嘩になって相手がチャカを持っていたらいけねえから、

一気に野郎の懐に入って勝負をつけねえとな」

これがアウトローの生きるための思考法だという。

 

著者に言わせれば、市民は最悪の事態を恐れ、それについては考えまいとし、

平穏な秩序がいつまでも続くことを切望する。

しかし、言うまでもなくこの激動の時代に求められるのは、

最悪の結果を想定し、それを基準に考えることである。

アメリカのビジネス社会ではこの発想が当たり前のものになっている。

 

アメリカでは、不動産会社の地位は確固たるものがあるという。

人の財産を扱うビジネスの中でも、銀行よりも地位は上らしい。

そんな不動産会社のひとつは、新人研修のなかでレポートを提出させる。

研修で会社についての若干の知識を与えたところで与えられるテーマは

「この会社を潰す方法を考えよ」というものだ。

 

どんな企業であれ、最悪の事態を予測できるということは、

その企業の生命線がどこにあるかを見極められる、ということだ。

だから最悪の事態を想定できる人材は強い。

そして、企業にとっても最悪の事態の予測が集まれば、

それに対する対処もしやすくなるのだ。

 

著者が、ある出版社に新入社員教育の講師を依頼された。

その際には、上述した不動産会社と同じように

この会社を潰す方法を考え、レポートにしろ」という課題を出した。

集まったレポートのほとんどは「この会社にとって大事な作家と喧嘩をする」といった

いかにも出版社の新人らしいものばかりだった。

その中で著者の目を引いたのは、ある新人女性のレポートだった。

それには「会社を支えているのは雑誌です。雑誌は定期的に取次に入ることが

前提なので、2,3回期日に取次に入らない状況をつくりだしたら、

大企業とはいえ潰れるのではないでしょうか。」と書いてあった。

著者は、よく勉強しているし、なかなかいいところを衝いている、と思ったという。

 

普通、人間の思考法は希望的観測の積み重ねということになりやすい。

「うまくいきゃあ、こうなるだろう」と取らぬ狸の皮算用をしがちだ。

しかし、そういった発想では、非常事態が起きた時に対処できない。

一方、最悪の事態からの発想であれば、事実そうなったとしても

心構えがあるからダメージは50%に食い止められる。

 

以前読んだビジネス本に、シナリオは3つ用意しろ、と書いてあった。

「最高のシナリオ」「普通のシナリオ」「最悪のシナリオ」である。

「最高のシナリオ」「普通のシナリオ」までは誰でも考える。

希望的観測を外し、ありのままの事実を見つめ、

「最悪のシナリオ」にそなえる。

そこまでできる人であれば、何事も余裕を持って対処できるし、

仕事のポイントを見極めていると言える。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「最悪のシナリオを考えて準備する」