一時に一事 「できる社員の損益分岐点 (松尾 喬)」
自衛隊の訓練の中でもっとも危険なのものが爆破訓練である。
本物の爆薬を使って起爆要領や取り扱いを学ぶ。
このようなときのやり方のポイントとして「一時に一事」というのがある。
「一時に一事」とは、一つ一つを区切って教えることだ。
同時にいくつもの指示を出さない。
一つの作業が終わらないと、次の指示を出さない。
爆破作業の中でもっとも危険な雷管を爆薬に装着するときには、
「雷管点検」と指示を出し、やる側が「雷管点検」と復唱し、雷管を点検する。
異常がなければ「雷管よし」と報告する。
次に「雷管装着」と指示が出る。
一連の作業を一つ一つ区切って行うことで、安全に確実にできる。
特に相手が未熟なときは、なおさら「一時に一事」を徹底しないと
混乱してしまい、いつまでたっても覚えられない。
スポーツにおいても、スキーを教えるときに
ヒザを曲げて腕を前にして目線を上げて~と多くの指示を一度に出しても
初心者はできない。
何かをやらせるときには一つ一つ区切って指示を出すとうまくいく。
ギターなんかでもまずは1フレーズだけひたすら練習して、
覚えたら次の1フレーズを練習して、それをつなげると1曲すぐに弾けるようになる。
英単語でも、一気に10個覚えようとしないで、まず3つだけ徹底的に覚えてから
次の3つを覚える、という風にやると確実に覚える。
複雑で難しいことを一気に覚えることは困難だ。
分解して、まずは一つ覚える。一つ覚えたら新しいことを覚える。
それを繰り返すうちに全体的にできるようになる。
危険なことならば、なおさら「一時に一事」でやらなければならない。
小さなことが確実にできないと、大きなことはできない。
逆に小さなことが始めることで、大きなことができるようになる。
そうすることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「新しいこと、危険なことは一時に一事で行う」