これで十分 「ランチェスター思考2 (福田秀人)」
意思決定論の権威とされ、ノーベル経済学賞を受賞したカーネギー・メロン大学の
サイモンは、人間はほとんどの決定において2種類に分けられるとした。
「最良の案を選択するという最適化を追求する経済人間」と
「これで十分」という「満足のいく案を選ぶという満足化を追求する管理間」である。
ほとんどの人間は管理人間であり、組織も同様であるという。
これにより、実行可能な案を全て洗い出さずに、早く決定ができるようになる。
たとえば、はじめての飲食街で食事をする店を選ぶ際、
ひと通り見て回って、最も良いと思う店を選ぶ人と
「ここがいい」と思ったらその店に入り、それ以上調べようとしない人がいる。
全部を調べないうちに店を決めてしまうと、
後から「あの店のほうがよかった」と思うこともあるだろう。
しかし、ひと通り見て回った後で、「最初の店がいい」と思って戻ってみても、
その頃には店が混んでいたり、閉まっていたりするかもしれない。
また、調べ回っていた時間が長すぎてゆっくり食事ができないかもしれない。
程々にさっと決めたほうが結局得する場合が多い。
用意周到に準備しすぎた計画も、周りの状況が変わってしまえば通用しない。
物事にはタイミングがあり、それを逃しては意味が無いのだ。
タイミングを逃さないためには、スピードが重要になってくる。
中国の孟子は「拙といえでも、即をもってすれば勝つ」と、
拙速、すなわり迅速を優先させよと説いた。
つまり「スピード第一」である。
スピードをつけるには、「最良」よりも「これで十分」なほうを優先させることだ。
「これで十分」の行動を早く積み重ねることで「最良」に近づいていける。
一発で最良を叶えようとしてもうまくいかない。
そう考えることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「最良よりも、これで十分」