相手を変えないでやるべきこと 「その島のひとたちは、ひとの話をきかない-精神科医、「自殺希少地域」を行く-(森川すいめい)」
著者は普段、認知症を持つ人の診療をしている。
認知症は誰もがなりうるものである。
最近のことが覚えられない、さっき言ったことがわからない。
そういった状況に周りの人もイライラしがちになるが、
家族や周囲の人の工夫次第で上手に対処できることもある。
周囲の人の工夫が足りない場合、
特に相手を変えようとする人が多い場合は喧嘩が絶えなくなる。
「何度言ったらわかるんだ!」と怒っても、
本人は覚えることができないから同じことを繰り返す。
また周囲の人は怒るが、本人は何で怒られているのかわからない。
そもそも怒るのは、苛立ちを発散する行為でもあるが、
相手を変えようとして怒ることもある。
大切な家族がどんどんものを忘れていく状態は、
さみしいかもしれないが変えることができない。
一方、本人と周囲の人の関係が良い場合は、
たいていは周囲の人がよく工夫をしている。
認知症をもつ人は少しづつ力落ちていき、できないことが増えていく。
しかし、そのたびに周りの人が工夫をしていくのだ。
鍵がなくならないように鍵にひもをつけたり、
火をつけっぱなしにしてしまっても大丈夫なようにタイマーをセットしたりする。
「ご飯はまだか?」と何度も聞かれるならば、食器を片付けないでおく。
食器が置いてあれば、ご飯を食べたなと思うことができる。
相手を変えることはできない。
変えることのできるのは自分だけだ、とよく言われる。
相手を変えることができないならば、工夫をすればいい。
仕事においても、金も人も時間もなければ工夫をするしかない。
変えられないことを無理に変えようとするよりも、
変えられることで工夫をしていく。
そうすることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「困難があったら工夫する」