お医者さんと結婚 「アドラー博士の子どもに自信をつける魔法のしつけ(星 一郎)」
ある小学校の先生が、五年生の女子生徒と、その友達との会話を聞いていた。
その子は平然と「私ね、結婚するとしたらお医者様と結婚するの。
お医者様でなかったら、弁護士と結婚するんだ」と言った。
その先生はその子に近寄り、冗談で「先生とだったらどう?」ときいた。
すると彼女はすぐに「えーっ先生と結婚するなんて考えられない。
だって先生は小学校の先生でしょ」と答えたそうである。
その先生は苦笑いするしかなかった。
実はその子の父親は医者だったそうである。
例えば、その子のお母さんが、「○○ちゃん。結婚するならお父さんのように
立派な人を選んでね」と言ったとする。
その子が「お父さんのように立派な人と結婚したい」と考えるのは結構なことだが、
お医者さん=立派な人、と考えていれるのであれば問題である。
お医者さんはみんな立派な人というわけではないし、
お医者さんじゃない人は全員立派じゃない人、というわけでもない。
ましてや、彼女は「自分が好きな人」と結婚するのではなく、
医者という「自分が好きな属性を持った人」と結婚するかもしれない。
そして、医者の妻という自分の属性を好きになるのだ。
属性で人を判断するのは、大人でもやってしまうことである。
「一流大学を卒業しているから」「若いのに管理職だから」
「テレビによく出る有名な人だから」、あの人はすごいと考える人も多い。
もちろん、その属性を勝ち取った努力は認めるべきではある。
しかし、他人の価値を属性で判断する人は、自分の価値も属性で決めてしまう。
何の地位も名誉もない自分は価値がないと考えしまいやすい。
そういう子は、決してありのままの自分を好きになることはない。
何らかの地位や名誉を手に入れた瞬間は、自分を評価し、好きになるかもしれない。
ところが、その地位が手に入らなかったり、
あるいは一度手に入ったが失ってしまったり、
自分より上の地位にいる人間に会ったりしたときには、結局自分を蔑んでしまう。
人は属性が全てではない。
どんな属性を持っていたとしても、中身は別問題である。
そんな考えで他人を評価できる人は、自分に対しての評価も
属性にとらわれなくなる。
そう考えることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「自分や他人を、属性以外でも評価する」