頭の良さは遺伝で決まる 「言ってはいけない残酷すぎる真実(橘玲)」
本書は、きちんとした実験や調査、研究によって明らかになった
多くの人にとっての不都合な事実を書いた本である。
全てソースがあり、証拠がある。
身も蓋もない事実ばかりなので、不快になる人もいるだろう。
だが、見方によってはスッキリする人もいるかもしれない。
例えば、一般知能はIQ(知能指数)によって数値化できる。
そこで一卵性双生児と二卵性双生児を比較したり、
養子に出された一卵性双生児を追跡することで、
人の知能に影響を与えているのは、環境の割合が多いのか
遺伝の割合が多いのかを調べることができる。
遺伝が影響を与える割合を遺伝率という。
結論としては、論理的推論能力の遺伝率は68%で、
一般知能(IQ)の遺伝率は77%だった。
つまり、知能の違い(頭の善し悪し)の7~8割は遺伝で説明できるのだ。
どれほど努力しても逆上がりができない子どもはいるし、
どんなに頑張っても音痴が矯正できないこともある。
同じように、どんなに頑張っても勉強ができない子どももいるのだ。
だから、学校の成績の悪かった親が、「せめて子どもだけは・・」と
一生懸命勉強させても、成果が上がらない子のほうが多いことになる。
また、体重の遺伝率は74%である。
スリムなことが美徳である社会では、
太っているのはダイエットに失敗したからと考えられている。
つまり本人の自己管理能力や努力の不足が原因だとされているが、
体重の高い遺伝率から考えれば、
「ダイエットに成功する人の多くは、遺伝的に痩せている人である」という
可能性のほうが高い。
だが、ポイントは、この結果をどう捉えるかだ。
「やっぱりオレは頭が悪いんだ」「私は太ったままなんだ」と
悲観的に捉える人もいるかもしれない。
しかし、見方によってはスパっとあきらめがつきやすいのではないか。
つまり、「やっぱり勉強は向いてないんだ。じゃあ他の分野でがんばろう」と
勉強以外で自分が勝負できることを探せるきっかけになるのではないか。
「どうせ太るなら、無理なダイエットに頑張るのではなく、そのエネルギーを
違うことに向けよう」と考えれば、意外とスッキリするかもしれない。
また、逆に親が体重が重いのなら、
「自分も体重が増えやすいかも」と考え、手が打ちやすいとも言える。
もちろん上記の調査結果の遺伝率は100%ではないので、
成績の悪い親の子どもは、100%成績が悪くなるというわけではない。
あくまで頭の良さや体重の増減は、遺伝の影響が大きい、というだけだ。
だが、勉強に向いてない人や、ダイエットに向いてない人に
「努力すればできますよ」と言い続け、無理させても辛い結果に終わるのではないか。
勉強に向いてない人は、勉強以外のことで勝負すればいいし、
体重の増えやすい人がダイエット以外のことに頑張ってもいい。
要は、自分のエネルギーをどこに使うかだ。
どうせ遺伝的に不向きであれば、別の方向性を模索する。
そうすることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「どうせ向いてないなら、別のことで頑張る」