百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

危機を乗り越えるために 「21世紀 地政学入門(船橋洋一)」

東日本大震災における東京電力福島第一原発事故の際、

菅直人首相は3月22日に近藤駿介原子力委員長に

「最悪のシナリオ」の作成を極秘に求めた。

そのシナリオは、燃料プールがすべて損壊し、コアコンクリート相互作用が

起こった場合、170キロ圏内の住民は強制避難、250キロ内の重民は自主避難

必要がそれぞれ出てくると予想していた。

 

近藤委員長は、菅直人首相からその話を持ちかけられたとき、

「最悪のシナリオということで言えば、いまが最悪です」と答えている。

もうこれ以上悪くなることはない、いまが最悪です、と言い切ることで

これから展望が開ける可能性を示唆し、首相を鼓舞したのである。

 

危機対応の際の最大の敵は、悲観主義、さらには敗北主義である。

前向きな強い気持ちを維持し、展望を持つことが危機を乗り切る上で欠かせないのだ。

東電吉田昌郎福島第一原発所長は、危機のさなか毎日夕方の全体会議で、

その日何か一つでも前向きな進展が報告されると、率先して拍手した。

危機の際はどうしてもできていないことが目につくが、

本当に大事なのは褒めるところを探すことである。

うまくいっているときほど悲観的になって気を引き締めるべきで、

うまくいかっていないときは少しでも良いところを探していくほうがよい。

 

危機的状況で前向きになるには、完璧主義にならないほうがよい。

完璧なベストよりも、荒削りなセカンドベストを採用するほうが現実的だ。

特に日本社会は、完璧な組織原理をつくりすぎると著者はいう。

組織を細分化し、それぞれの単位で精密にリスクに対処しようとしてしまう。

このような既知のリスクに対して完璧な組織を作ってしまうと、

未知のリスクに直面したときに脆くなる。

組織が複雑で指揮系統が階層化され、危機対応に遅れをとってしまうからだ。

想定されるリスクに備えると同時に、想定外のリスクに対処できる柔軟さを残したい。

状況に応じて、荒削りな次最適解を採用することが危機対処には役立つ。

 

危機を乗り越えるのに必要なことは、

少しでも前向きな要素を見つけること、

完璧さにこだわらずセカンドベストを素早く採用することである。

それは個人においても当てはまるのではないか。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「危機のときこそ、完璧でなくても前向きなことに目をむけて行動する」