百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

都合の悪い情報に目を向けろ 「会社に左右されない仕事術(三田紀房)」

たとえば、業績が落ち込んだメーカーが

「来年は創業30周年だ。大々的なキャンペーンをして、

一挙に業績回復を図ろう」と考えたとする。

たくさんのキャンペーングッズと新商品を揃え、

古くからの付き合いのある販売店の協力もとりつける。

古参社員は感慨深く「ついにうちも30周年か・・」とやる気を見せる。

 

しかし、フタを開けてみればさっぱり売上が伸びない。

それどころか、キャンペーンの出費がかさみ、大赤字になってしまう。

なぜこんなことになるのか。

 

そもそも消費者にとっては、メーカーの30周年など関係ない。

見るのは価格と性能だけだ。

さらに、創業当時を知っている古参社員にとっては、

30周年は感慨深いかもしれないが、若手には何の思い入れもない。

そして何よりも、業績の悪化と創業年数はまったく別の問題だ。

結局は「創業30周年のキャンペーンで業績が回復するはずだ」という仮説が

そもそも間違っていたのだ。

 

人は自分が立てた仮説について、なかなか客観的な判断を下すことができない。

一度仮説を立ててしまうと、「その仮説の正当性を証明する情報」ばかり

目につくようになるからだ。

これは心理学の世界で「確証バイアス」という。

 

「欧米人は日本人をバカにしている」という自説を持っていれば、

一人でも失礼な欧米人に会えば、その他のたくさんの礼儀正しい欧米人のことを忘れ、

「やっぱり日本人をバカにしている」と確信してしまう。

「創業30周年キャンペーンで業績は回復する」と仮説をたてて、

確証バイアスにかかってしまえば、その仮説を否定する情報が入ってこなくなるのだ。

 

確証バイアスで「きっとうちの会社は大丈夫だ」と思い込むのも危険だ。

そんな思い込みを持っていれば、「大丈夫そうな情報」しか目に入らなくなる。

会社のいたるところにある危険信号を見逃してしまう。

逆に「うちの会社はもうダメだ」という思い込みがあると、

会社の悪いところばかりが目についてしまう。

そして「こんな会社にいたらダメだ」と安易な転職に走り、

もっと条件の悪いブラック企業に就職してしまう。

 

大事なのは、物事を考えるときに「あえて自分に都合の悪い情報」を探すことである。

自説を肯定する情報ではなく、まず自説を否定する情報を探す。

そして都合の悪い情報をもとに自説を修正していく。

人が自分を客観的に見るには、この道を通るしかない。

 

本当に現実を変えたいと思えば、自分に都合のいい思い込みは排除したほうがいい。

最初に都合の悪い情報から探すことで、より現実的な手段がとれる。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「まず都合の悪い情報を探す」