八分目の信頼関係 「たった1行の成功法則 (竹村健一)」
人と信頼関係を結ぶときは、その信頼関係に完全さを求めないほうがよい。
自分は相手の要求に100%応えるから、相手も自分の要求に100%応えてくれ」という
完全な信頼関係は長続きしない。
精神科医の斎藤茂太は「夫婦関係にしても友人関係にしても、100%の信頼関係を
求めると必ず挫折する。だから80%程度の信頼関係を目指すべきだ」と言っている。
この世にパーフェクトな信頼関係はありえない。
本田技研の創業者である本田宗一郎と藤沢武夫は、社長・副社長として
二人三脚え会社を大きくしていった。
本田氏は技術開発に全力を注ぎ、藤沢氏はお金や組織内部のことすべてを見た。
世間では二人を夫婦のような一心同体の関係と思いがちだったが、
実は二人の間には淡々とした部分があったという。
会社の公式セレモニー以外では、二人が行動をともにすることは滅多になかった。
会社が大きくなると、会話をするのもほんの数分ということが普通だった。
二人が昭和48年に同時に引退し、その年の7月に本田邸でパーティーが開かれたが、
藤沢氏はそのパーティーに出席しなかった。遠慮することなく欠席したのだ。
だからといって仲が悪いわけではなかった。
お互いの能力については100%信頼していたが、
仕事に支障が出ないように、べったりとした関係を望まなかった。
ビジネスパートナーとして互いにほどよい距離を保っていたということだ。
中国の古典に「君子の交わりは淡きこと理想なり」という言葉がある。
本田氏と藤沢氏の交わりにも淡い部分があったからこそ、ビジネスを成功できたのだ。
人間関係では完璧を求めないことがコツだ。
「淡い」くらいでちょうどいい。
親子でも、友達でも、恋愛でも、夫婦でも、仕事でも、そして自分自身に対しても、
完璧さを求めるとその関係はいつか破綻する。
何事も淡い部分を残しておく。
そうすることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「相手に求めるのは最大80%まで」