百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

純粋培養は弱い 「雑菌主義宣言!(斎藤 孝)」

このシビアな時代を生き抜くには、精神の強さが必要になる。

これからの時代に必要なのは「雑菌主義」だ、と著者は言う。

自分にとって不愉快な雑菌的なものを拒否し、排除して生きるのではなく、

あえて積極的に自分の中に取り込んで、自己免疫力を高める。

そのような心の免疫力を高めるのが雑菌主義だ。

 

現代日本人は、菌の繁殖に非常に神経質だ。

巷で流行っている抗菌・除菌グッズは豊富すぎるくらいある。

新型インフルエンザ、ノロウイルスと、新たなウイルスの脅威を思案し、

ネット社会でもウイルスの危険と隣り合わせの中で暮らしている。

だから現代の学生は、雑菌という文字を見るだけで眉間にシワを寄せる。

 

確かに生命の危険を脅かす危険のあるものは避けなければならない。

しかし、あらゆる菌を寄せ付けなくすることは賢い選択ではない。

親が神経質になりすぎて、赤ちゃんのときに細菌を極力排除した

クリーンな環境で育てると、かえってアレルギー体質になりやすいといわれる。

人間は置かれた環境の中で自己の免疫力を高めながら生きるのが自然だ。

 

著者が大学生を教えていると、著者はあることに気づく。

純粋であること、傷つきやすいこと、ナイーブであることを美徳のように思って、

今の自分を守ろう守ろうとする人が学生には多いのだという。

面倒なこと、わずらわしいこと、理解しにくいことは極力避けようとする。

その結果、本当になすべきことではなく、

楽な方・より不快でない方ばかり選び、

不利益を被ることになるのだという。

 

厄介で、煩わしくて、不愉快なことを雑菌とするならば

社会の中で生きることはまさに雑菌の中で生きることだ。

仕事は面倒だし、学校も面倒だし、人間関係も面倒だし、

あんなに頑張ったのに志望校に落ちた、

好きだった人に振られた、

突然リストラされた、など

社会では自分にとって理不尽なことが当たり前のように起きる。

 

そうした煩わしいもの、理不尽なものの中で頑張ることで

徐々に抵抗力が蓄積され、人間として成熟していく。

成熟なんかしたくない、抵抗力が弱くても生きていける、

弱いままでいいじゃないかと開き直ると、

いざ理不尽なことに襲われたときに抵抗できず、

自分を不利益な状態に落とし込んでしまう。

 

耐えられる範囲の菌にさらされておくことで、

むしろ自分の身を守る抵抗力が身につく。

自分にとって理不尽なことは確かに辛い。

異物、他者、アクシデント、不運、不幸、思い通りにならないこと、

その他自分にとって理不尽だと思えることがあったときに、

それを自分に免疫をつける雑菌だと思って乗り越える。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「人生の理不尽なことに免疫をつける」