百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

仕事に恐怖を抱きながら働く 「ここ一番に強くなれ (三田紀房)」

ここ一番の大舞台に強い人は、必ずしも豪快で単細胞な人ではない。

むしろ驚くほど繊細で、臆病なひとほど本番に強い。

もともと人間は臆病だ。

脳科学によると、人間を含む動物のもっとも原始的な感情は「恐怖」である。

天敵に会ったときに瞬間的に恐怖を感じるから、

すぐに逃げて生き延びることができる。

恐怖を先に持っているからこそ、生き延びることができ、

喜びを味わうことができる。

だから「仕事に喜びを見出しなさい」なんてアドバイスを著者は的外れだと言う。

喜びよりも先に「恐怖」を抱きながら働いて生きるべきだ、と。

 

恐怖という言葉がピンと来ないなら

これを「危機意識」と言い換えてもよい。

危機意識の欠けた人間は、絶対に成功できない。

仮になにかで成功をおさめたとしても、すぐに落ちぶれる。

成功した経営者が慢心してあっけなく自己破産したり、

成功したスポーツ選手が不摂生でケガを繰り返りしたりすることもある。

成功にあぐらをかいて、危機意識を失うと、足元をすくわれる。

 

イチロー選手はチームの誰よりも早く球場入りし、柔軟体操をし、

ランニング、キャッチボール、守備練習などの基礎を繰り返し、

ようやくフリーバッティングに臨む。

遅れて球場にやってきて、いきなりフリーバッティングをはじめる

チームメイトとは雲泥の差がある。

試合が始まっても、イチロー選手はネクストバッターズサークルでも、

打席に入る直前でも、そして守備についている間も

ずっと柔軟体操を繰り返す。

これは彼が、健全な臆病者だからやっていることだ。

怪我はスポーツ選手にとって最大の危機だ。

彼の何年にもわたる「200本安打」という記録も、

技術だけでなく、怪我による欠場がないからこそ実現できるものだ。

だからこそ、いつも柔軟体操を繰り返して怪我をしない自分を作る。

 

逆に、危機意識から綿密にリスク回避をやるからこそ恐怖心から解き放たれる。

「これだけしっかり柔軟をやっているのだから、

どんな動きをしても怪我をすることはない」という自信が生まれ、

思い切り動くことでスーパープレイが生まれる。

一瞬でも「怪我するかも」と思ったら盗塁もランニングキャッチもできない。

 

ただ闇雲に「大丈夫大丈夫」と言い聞かせてもポジティブにはなりにくい。

最悪を想定して、不安材料と向き合ってつぶしていく。

ある意味ネガティブを極めるような行為だが、

それがかえってポジティブな結果を生む。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「健全な臆病者になって、不安材料と向き合う」