百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

欲しいものに、あえて遠回りして近づく 「抜く技術 (上原春男)」

研究者には、研究費などの予算を獲得しなければならない。

夢やプランを語って、それにお金を出してもらわなければならない。

著者が予算獲得に奔走していく中で得た教訓は、

お金が欲しいときに「お金が欲しい」ということだけを強調しないほうがいい、

ということである。

むしろ夢を語り、人にはホラ吹きと言われても自分の信念を語り続けることが大事だ。

説得するよりも、共感を得たほうがうまくいくときもある。

 

著者は「こうしてほしい」ことを直接述べることはしなかった。

かわりに「なぜ、そうしなければならないのか」を真正面から説いた。

著者が研究しているのは、海洋温度差発電というものだ。

海洋温度差発電にお金がいることを訴えるのではなく、

なぜ海洋温度差発電が必要なのか、それを開発しないとどうなるのか、

開発したらどうなるのか、といった背景・必要性・有益性を説明する。

その間お金のことは口にしない。

それで納得させないかぎり、いくらお金の必要性を訴えてもダメだからだ。

逆にいえば、それで納得してくれる人なら

お金のことを一言も言わなくてもこちらの要望に快くこたえてくれる。

 

中には「金を出してどんな得があるのか」と見返りを求める人もいる。

それには「何も見返りはございません」と正直に答える。

そこで「じゃあ、やめた」と言う人ももちろんいる。

だが、逆に支援してくれる人もいる。

人間は利害だけで動くとは限らない。

人情、真剣さ、信念、正直さで動くこともある。

 

交渉ごとでは、遠回りのアプローチが多くものをいう。

特に著者が扱っているのはエネルギー問題の分野になるから、

今日、明日どうこうというものではない。

長期的に見るとエネルギーが逼迫する、ということを

相手が納得してれて初めて資金を出してもらえる。

大仕事を成し遂げようとするなら、じっくり腰をすえて取り組んだほうがよい。

短期的に成功しようと、力任せのゴリ押しでいってもうまくいかないのだ。

攻めの組立てが必要になる。

 

「自分はこうしたい」「自分はこういう考えで行動している」ということを

少しづつ周りの人に理解してもらう。

そこで共感が得られれば、必ず味方が増える。

そうした遠回りなやり方が、結果的に大きな成果を生むこともある。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「自分の考えに共感してもらう」