「いいえ」と言われるほど成功する 「凡人の逆襲 (平秀信・神田昌典)」
営業において、あえて「断る」のがよい、という考えがある。
ただやみくもに断ればよいというわけではない。
著者はきちんとした意図があって「断れ」と言ってる。
「断る」目的は、信頼されるようにするためである。
断る営業に対して、「お願いする」営業は成功の確率が低い。
確かに、欲しくもない商品を「良い商品なんです。買ってください」と
お願いされても誰も買わない。
好きでもない人から
「俺っていい人でしょ?かっこいいでしょ?お願い付き合って!」と言われても
誰も付き合わないのと同じである。
大事なのはお客さんに買う気があるかどうか見極めることだ。
①お客さんが自分の商品を必要とし、買いたいと思っている
②お客さんに自分の商品を買う予算がある
③この取引によって売り手と買い手の双方にメリットがある
この3点を満たしているときに商品は売れる。
逆にこの3点を満たしてなければ、こちらから「断る」のである。
自分の商品を必要としていない人や、買うお金がない人に
長々と説得してもお互いの時間の無駄である。
そして双方にメリットが生じない取引は長続きしない。
だからこういう場合は断ったほうが、お互いのためになる。
そうすることで逆に信用につながる。
買う気のない人に食らいついて長々と説得するような人は信用されない。
100人の見込み客がいたとして、その中の5人が買う可能性があるなら、
まずその5人を見分けることが大事だ。
その5人を探さずに、残りの95人の人と不毛なダンスを踊り続けても意味はない。
100匹の魚を全部釣ろうとすると1匹も釣れない。
まずは釣れる可能性が高い魚5匹から釣っていく。
では、残りの95人は全く買わないかというと、そうではない。
その95人の人でも、きちんとフォローしていけばあと15人は買う。
つまり、5人は今すぐ買うお客さんで、15人は将来買うお客さんなのである。
将来買うお客さんを、今無理に説得すると逃げられてしまう。
著者は電話をかけて「~があるのですが、購入したいですか」と聞く。
そして、「はい」と答えた人にアポを取っていくのだそうだ。
こうすると、100人中95人は「いいえ」と答え、5人は「はい」と答える。
この「いいえ」の返事は大変価値がある。
買うお客さんと買わないお客さんを明確に識別してくれるからだ。
お客さんから「いいえ」の返事をもらうように努力しているようなものだ。
「いいえ」の返事をもらえばもらうほど、本当のお客さんに近づいていく。
だから「いいえ」と返事されても、動揺せずに受話器を置けるのだそうだ。
この話を読んで、恋愛や進路にも当てはまると思った。
振られた、志望校に落ちた、就活で断られてばかりだ、といったことでも当てはまる。
何かに断られたときに、次は断られないように自分を高めるのはもちろん大事だ。
だが、「今の自分がダメだから自分を高める」だけじゃなしに、
「今の自分を歓迎してくれるところで自分を高める」という選択肢もある。
中学で成績の良い子がトップの進学校に落ちたとする。当然ショックだ。
しかし、滑り止めで入った学校では、その子はトップの成績だったとする。
そうなると周囲からも称賛され、やる気も出て自信が持てるようになる。
もし、この子がトップの進学校に入れたとしても、
その学校では下のほうの成績になってしまい、自信をなくしていたかもしれない。
フラれたとしても、就活の面接に落ちたとしても、
それは「今の自分を必要としている他のところ」に行けるチャンスだとも言える。
「今の自分を高めていくこと」は必要である。
同時に「今の自分を必要としているところ」を探すことも大事ではないか。
今の自分を必要としていないところに、
「お願いします。いさせてください。」としがみつこうとしても
お互いにとってよくない。
「いいえ」と断られたら、次にもっといい場所に行けるチャンスでもある。
そうすることで自信につながるかもしれない。
本日の武器「いいえ、をあえてなるべくもらうようにする」