百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

カメがウサギに負ける現実 「がなり流!(高橋がなり)」

真面目で素直なヤツのことを、高橋がなりは面と向かって「カメ」と呼ぶ。

カメのことは別に嫌いじゃない。

しかし、著者によればカメは「一生懸命やっていれば、いつかは報われるはず」と

強く思いすぎているところがある。

詰まるところ、それは、今の自分の能力を肯定しすぎており、甘えた考えである。

 

真面目で正直なカメたちは、不真面目な人間のことを認めたがらない。

「ああいうヤツは成功しない」と、ウサギの行く末を見抜いたようなことを言う。

というより、そう願いがちである。

そこで著者は昔、会社のナンバー2のポジションに、真面目が取り柄の人にとって

最も嫌がるタイプの人間を置いていた。典型的な太鼓持ちタイプである。

社内行事の時も先頭を行く著者の後ろを歩かせた。

真面目な自分よりも太鼓持ちのほうが歩いている。

そんな目の前の現実を見て、

真面目や正直がインチキや二面性にかなわない現実があることを体感させた。

自分の都合のいい見抜き方をして「俺の方がうまくいく」というレベルで

自分の能力を盲信して欲しくなかったのである。

 

一見怠けているウサギに見えても、自分は真面目にやってるからと

下に見るのは浅はかな考えだと思う。

いい加減なように見えて、やるべき時にちゃんとやって評価されている人もいる。

要するにメリハリの問題だ。

 

著者がテレビ番組を制作していたときに、

優秀なディレクターは必ずこのメリハリの良さを持っていることに気づいた。

スペシャル番組を1ヶ月で1本作るとして、彼らは初めの2週間はほとんど仕事しない。

先に、キャスティングとスタジオと技術スタッフを決めたら、

あとは「いろいろ考え中」と言ってダラダラしている。

「明日できることは今日やるな」を合い言葉に雀荘や風俗で遊びまくる。

そして、最後の3日間くらいで本気を出す。

急激にペースを上げて、トップスピードを保ち、そのままゴールをする。

第4コーナーを回ってから勝負して、きっちり結果を残していく。

 

現実のウサキはレース展開を頭にいれて、ギアチェンジができるのだ。

 もちろん、レース展開は種目によって違う。

先行逃げ切りが求められることもあれば、イーブンペースが求められることもある。

いずれにしても、トップスピードを出そうと思えばいつでも出せる人間が

最も有効にスピードを生かして勝率を上げるのである。

 

勝つためのレース展開を身につける方法としては、

まずはスタート直後から全力で走ってみることだ。

 「明日できることは今日やるな」と言っている人も、

自分が新米ディレクターのときは当日からやっていたわけで、

やりながら「どこから追い上げれば間に合うか。確実に勝つためには

どういうペース配分をすればいいのか」を覚えていったはずだ。

 

いつまでたってもメリハリがつけられない人は、

期限を与えられた初日から、風俗にも雀荘にもいかずにコツコツやる。

勝ち方を知らないから何かやってないと不安なのだ。

それで、ゴール前になって後ろから来たヤツに追い抜かれる。

つまりコツコツやるのが悪いわけではなく、

勝ち方を知らないから「コツコツ真面目にやればいい」とだけ思っているのがまずい。

 

勝つにはメリハリをつけること。

メリハリをつけるには、勝負の風向きを読むことも重要だ。

援軍や資金が集まってくる状態のことを著者は「追い風が吹く」と呼ぶ。

自分のペース配分を考え、追い風が吹いたら全力で攻める。

追い風が吹かないならまだ攻めなければよい。

マネーの虎」に出ていた志願者は、よく「今しかないんです」と言ってた。

追い風が吹いてないのに「いましかない」と言うのは、勝ち方を知らない証拠であり、

この手の風を読まない人は失敗すると著者は言う。

 

もちろん毎回都合良く追風が吹わけではない。

逆風が吹いたらどうするか。「穴を掘って避難する」のがよい。

著者が会社を2つ潰して、借金を抱え、やること全部うまくいかなかったときは、

一年半中華料理店の雇われ店長をしていた。

借金を減らすのではなく、借金をこれ以上増やさない方向に行った。

逆風が吹いたら無理に前進しない。かといってあきらめて退くわけでもない。

一旦避難して待つ。そのうち風向きが変わってくる。

周りからは「逃げた」と馬鹿にされるかもしれないが、

勝つための戦略として避難するのは正しい。

 

真面目でコツコツな"だけ"のカメは、要領のいいウサギに負ける。

自分の力を自分の都合のいいように解釈しないこと。

まずは全力疾走しながら、どういうペース配分なら自分が勝つのか知ること。

勝負の風向きを読み、追い風が吹いているときに全力を出すこと。

逆風のときには、思い切って避難すること。

勝つための行動をとっているかどうかが、勝つカメになるポイントではないか。

そうすることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「自分のペースを知り、風向きを読み、レースに勝つ展開を考える」