百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

場に溶け込むと勝てる 「勝負哲学(羽生義治・岡田武史)」

西洋の成功法則は「力を入れる」やりかたであるが、

日本人に会う成功法則は「力を抜く」やりかたである、という説を最近知った。

例えば西洋の格闘技やスポーツは力を付けることが重要で

筋肉ムキムキが強い、というイメージである。

それに対して日本の古武術は「力を抜く」ことが重要で、

余分な力を入れないほうが強い、みたいなことを本で読んだことがある。

 

これは色々なことに当てはまるのではないか。

ビジネスにおいても、商品を増やし、機能を増やし、広告を増やし、店舗を増やす、

そういった「力」を入れる戦略よりも商品や機能を絞込み、余計な経費をかけない

力を抜いたシンプルな戦略のほうが功を奏す時代である。

以前にブログで取り上げた「引き算する勇気」に書いてあったことだ。

hyakutakenikki.hatenablog.com

 勝負において余計な力を入れずに自然体でやることの大事さは

「勝負哲学」においても力を入れないことの重要性が語られている。

 

岡田監督は「力まない集中」が大事だと述べた。

集中しているけれども執着していない。

サッカーにおいて相手の隙を見つけてやろうと力むと何も見えなくなる。

しかしリラックスしているけれど集中もしている、

という状態がつくれると、相手の隙に気づける。

つまり、勝ちたいと思わなくてはいけないが、勝ちたいと力んではダメである。

 

では力を抜くにはどうすればいいか。

ひとつは「広い集中力」を持つことである。

一つのことに狭い範囲に執着せずに、全体を見ると

余計な力も入らず落ち着いて処理できる。

将棋においてはまず4つの香車を見ると

自然と盤全体を見ることになる。

周りのものや、自然と全体が見えるものを見ると効果的である。

 

もう一つはメリハリをつけることである。 

集中するべきときと集中しなくていいときを分別して、

集中しなくていい時間には集中しないようにする。

羽生名人は将棋のことを何も考えない時間をあえてつくるそうだ。

頭の中に余白があるからこそ、集中力を生み出すエリアが生まれる。

岡田前監督も家庭という勝負とは無関係な生活があったから

精神が安定して勝負に集中できたと述べている。

 

つまり「力を抜く」といっても力をいれないわけではない。

ずっと力をいれっぱなしにはできないから、

余計な力を抜いててメリハリをつけるということだ。

また、 「力を抜く」と「手を抜く」も違う。

例えば仕事において力を抜いてやる、とは

余計な力を入れなくても仕事が回るようにする、ということだと思う。

工夫して無駄を省き、余力を残しても大丈夫なようにすれば

精神的にも楽になるのではないか。

 

常に力を入れて「俺が」「俺が」となるよりも、

要所要所でしかるべき力を入れながらやるほうが

自然体で力が発揮できる。

羽生名人によれば、場を制するというより「場になじんでいる」のが大事である。

場を見下ろすというよりは、場の中へ違和感なく溶け込めている状態。

そういうときは集中力も増すし、いい対局ができる。

それは常に力業で場を押さえ込むことではない。

 

余計な力を入れなくても結果を残せるようにするにはどうすればいいか。

無理やりではなく自然に「場になじむ」にはどうすればいいか。

そのことを考ることで自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「力を抜いて場になじむ」