百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

まず四つの香車を確認しなさい 「勝負哲学(羽生義治・岡田武史)」

「全体を見る」「俯瞰で見る」といったことが大事だとよく言われる。

もちろん言うまでもなく大事なことである。

それを羽生名人や岡田前監督はどのようにとらえているのだろうか。

 

岡田前監督が、ライフル射撃の日本代表監督から聞いた話がある。

弾を的に当てるためには、銃の先端についている照準と、

ずっと前方にある標的を一直線に結ばなくてはならない。

そのとき、照準や標的だけを見ていると力が入って銃の先が

ピタリと静止させることができない。

どうするかというと、照準や標的の周囲の景色も視野に入れながら

集中するのである。つまり「全体に集中する」のが重要なのだ。

一つの部分だけに意識が集中するのではなくて、全体に意識を行き渡らせる

広い集中力に長けている。これがいい選手の条件だそうだ。

 

これを読んで思い出した話がある。

車を運転していて、曲がりくねった道を走るときには

なるべく遠くを見ると運転しやすい、という話だ。

実際にやってみると、確かに遠くを見たほうが落ち着いて運転できた。

もし目の前の曲がりくねってる部分だけに気をとられていたら、

かえって緊張して事故を起こしていたかもしれない。

 

これはメンタルについても言えることではないだろうか。

例えば、「失敗したときそれをいつまでも引きずるのは視野が狭い」とも言える。

ここで次の試合に目を向ければ、

「その失敗が活かせされるから次は勝てる」と思える。

つまり、1つのことに意識を集中しすぎると、ドツボにハマる。

他のことにも目を向けることで、部分ではなく全体に意識がいき、

気持ちも切り替わるのだと思う。

 

将棋にも「着手する前に4つの香車を確認しなさい」という言葉があるそうだ。

香車は通常、盤上の四隅に配置されているので、その位置を確認すると

自ずと盤の全体を見ることになる。全体を見ることで視野が広がり、

うっかりミスも防げるし、大筋の方向性も決めやすくなる。

 

ということは、一つのことにとらわれずに大きな視野で全体的に見るには、

「周りのものを意識的に見る」のがコツなのかもしれない。

射撃の的だけでなく、的の周りも見る。

将棋の一つの駒だけでなく、香車も見る。

目の前のカーブだけではなく、遠くも見る。

今回の失敗だけではなく、次の機会も見る。

周りにあるものに目を向けることで、自然と全体が見えてくる。

そうすることで可能性が見えてくる。

だから落ち着いて次の一手に狙いが定まる。

 

一つのことに集中することも大事なのでは、と思う人もいるかもしれない。

しかし、全体に集中すれば部分にも集中できるのではないだろうか。

例えばAという行動をしたいとする。

そのときにAのみに集中するのではなく、

全体に集中すると、その中にAも含まれるから、

Aにも集中できている、というイメージ。

いずれにしても大事なのは、一つのことにとらわれすぎないといことだと思う。

 

何かをしようとして緊張する。

何かに失敗して自信を無くしている。

そいういったときに、あえてその周辺にあるものに目を向ける。

すると自然と全体に視線が行き渡って、可能性が見えてくる。

そこから自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「あえて周りも見て、全体をとらえる」