百武日記

自信がない人が自信を持って生きるためにはどうすればよいか。日々考えたこと、学んだことを記録し、自分の武器にする。

先にミスをするのと 後にミスをするのと どちらが有利か 「勝負哲学(羽生義治・岡田武史)」

サッカーだろうが、将棋だろうが、人間の行うことは何にでも

ミスがつきものである。

ミスに関して本書では述べられているのだろうか。

岡田元監督は言う。

「サッカーにおいて、マスコミや評論家は勝った負けたの原因をシステムとか戦術論に

求めたがるけど、実際には、勝負を分ける原因の8割はもっと小さなことです。

例えばミスです。たった一度のささいなミスでも、全体の流れをガラリと変える

大きな傷になってしまうことが多々あります。」

 

ミスにも種類がある。

技術上のミスや積極的なミスは仕方がない。プロならそれも折り込みずみで望む。

問題は、不用意なミス、消極性や怠惰から生まれる凡ミスである。

「まあ、これくらいでいいだろう」と気をゆるめたり、手を抜いたりして

生じるミスが、勝負の決め手になるから注意しなければならない。

 

これは昨日ブログで書いた、

「しなくてもいい負けを防ぐ」という話にもつながる。

hyakutakenikki.hatenablog.com

逆説的ではあるが、必然性をしっかり固めることが偶然性に対する

リスクヘッジにもなるのだ。羽生名人はこう言う。

想定の範囲内の事態への対応策をきちんと考えておくことは、

そのまま想定外の事態に対する善後策につながることが多い気がします。

想定できることはちゃんと想定しておくことが、

不測の事態、すなわち不確定要素の起こる確率を低くしてくれるし、

それが起きたときの対処も適切に進められます」

 

それでは、実際ミスをしたらどうするか。

羽生名人は、ミスをする前の局面を極力頭の中から消して、

ミスした後の状況を出発点に考えるそうだ。

損ねたものを挽回しようとするより、まだ残っているものを見失わないようにする。

そうこうしている間に流れがこちらにくることもある。

今できる最善のことをやるのが、いつでもベストになる。

 

ところで、このミスの話に関して最も興味深かったのは、次の話である。

 「おもしろいのは、将棋には、後でミスをしたほうが不利になるという法則がある

ということです。相手がミスをする、自分もミスをする、ミスとミスで帳消しに

なりそうですが、実は後のミスのほうが傷が大きくなります。

それで終盤に大逆転が起こることも珍しくありません。

結果論だけでいえば先にミスしたほうが有利になるわけで、これは交互に手を指す

将棋という勝負ごとに含まれているふしぎな機微ですね」

私にはこの話が強く印象に残った。将棋以外にも当てはまる気がしたのだ。

 

「先にミスをすると有利になる」というのはどういう場合だろう。

おそらく「先に行動をする」「行動量が多い」といった場合だと思う。

こちらが先に仕掛けたり、手数を増やしたりすれば、

必然的にミスが先に生じる。

だが「先手必勝」という言葉もあるように、

先に動いて有利な形に持っていくのは定石だ。スピードは力である。

 

ここで私が思い出すのが、キングダムという漫画である。

秦の始皇帝の中国統一を元にした漫画で、当然戦争の場面が出てくる。

そこに出てくる武将は2種類いる。

自分は前線にいかずに後ろで巧みな戦術を尽くして戦うタイプと、

自ら前線に出て兵を引っ張って戦うタイプである。

後者のタイプで、戦術をほとんど持たずに

とにかく戦場に突っ込んでいく武将が出てくる。

時には罠だと思ってもあえて突っ込んでいく。

当然被害を受けるのだが、必ず要所要所で勝って盛り返し、戦争に勝利する。

この武将がものすごく強いから出来ることではあるのだが、

彼が「火の付け所を探している」ということを言っていた。

要するに突破口やきっかけをおこそうとしている、ということだろう。

自分から動けば、場は荒れる。荒れた中から勝利のきっかけが生まれる。

それを見逃さずに確実にモノにしていくのである。

 

つまり自分から先に動くから強いのだ。

先に動いている分、ミスも先に起きる。

しかし、そのミスを修正しながら、あるいは他で取り返しながら進むと

先にチャンスをものにできる。

だからミスは先にしたほうが有利になるのだと思う。

たとえそこで負けたとしても、ミスや失敗で学ぶ情報量は大きい。だから成長する。

 

確かに、自分は動かずに誰かが動いてから動くという戦法もある。

状況によってはそれも有利にできるやり方だが、

そのやり方は、私は何となく中国のパクリ商品を思い出す。

自分から苦労を乗り越えて築き上げないとオリジナルは作れない。

YONTENDOは作れても任天堂は作れない。

 

先に動いて失敗するのは損する気がして、中々動けない時がある。

だが、人間にミスはつきものだ。

そしてミスは先にしたほうが有利だ。

ならば、あえて先に失敗する、くらいにこちらから先に動いていく。

失敗しても乗り越えて徐々に質を上げながら手数を増やしていく。

そこから自信につながるかもしれない。

 

本日の武器「先に行動して、先にミスをする」