誰が最後に笑ったか 「数の法則 (野口哲典)」
あなたと同期のA君は、営業成績をあらそっていた。
今年度、前期の営業成績はA君の契約成功確率が30%
あなたの成功確率は29%だった。
後期、あなたはなんとしてもA君を追い抜こうと頑張った。
その結果前期の2倍の営業数を成功させた。
しかし、後期の結果を見るとA君の成功確率は40%
あなたの成功確率は39%だった。
後期の成功率もあなたは負けてしまった。
ところがあなたは年間のトップの成績をあげたということで、
会社から表彰された。
前期も後期もA君のほうが成功確率は高かった。
なぜこういうことが起こるのだろうか。
実はあなたとA君の営業成績は、下記の通りであった。
営業数 成功数 成功確率
前期 A君 200 60 30%
あなた 100 29 29%
営業数 成功数 成功確率
後期 A君 100 40 40%
あなた 200 78 39%
確かに前期と後期を各々比較すると、どちらもA君の確率が高い。
しかし、前期と後期の営業成績をそれぞれ足すと、
営業数 成功数 成功確率
年間 A君 300 100 33.3%
あなた 300 107 35.7%
となり、年間の合計で比較すると、あなたのほうが成績がよかったのである。
このような統計上の現象を「シンプソンのパラドックス」という。
統計結果を分割すると、分割した結果と全体の結果が異なってしまう、
というものだ。
単純に考えれば前期、後期ともに成績の良いほうが、
年間全体の結果もよいと思いがちだ。
しかし、前期、後期と分割して結果を見てしまうと、
年間全体の結果が反対になることもある。
つまり、部分どうしの比較だけを見て判断すると、
間違った結果になることがあるのだ。
これは人生にも当てはまることではないか。
人生の一部分の時期だけをとりだして、他人と比較しても意味はない。
今何億と売上をあげている会社でも、10年後には倒産しているかもしれない。
今借金を抱えて 苦しんでいる人も、10年後には金持ちになっているかもしれない。
人生全体のうちのある部分が不幸だとしても、人生全体が不幸だとは限らない。
何度かブログで書いた、世界トップのプロゲーマー梅原大吾も、
「格闘ゲームで100戦100勝は無理。必ずどこかで負ける。」
「俺は昔大会で優勝したんだ、と言ったところで、
ああそうなんですか、と言われて終わりだ。」という趣旨のことを言ってる。
今勝っていてる、過去勝っていた、はあまり重要ではない。
たとえあなたが今いじめられていても、昔離婚して男性不振になっていても、
一度も彼女ができたことがなくても、さえない人生を送っていたとしても、
それで人生全体が決まるわけではないのだ。
部分的な結果と、全体の結果は異なるのだから。
ルパン3世のアニメで「誰が最後に笑ったか」というタイトルがある。
大事なのは、「結局最後に笑えるかどうか」ではないか。
今笑っている人は、この先も笑っていられるとは限らない。
今まで笑えてなかった人は、これから笑えるようになるかもしれない。
そう考えると自信につながるかもしれない。
本日の武器「最後に笑えるようにする」